ぺモリンは精神刺激薬の一つである。
ペモリンは 1913 年 Traube と Ascher により合成された化合物で、全般的な精神賦活作用、覚 醒作用、大脳皮質の賦活作用及び脳幹の鎮静作用を有し、メタンフェタミンとカフェインの中間の中枢興奮作用を有する。
本邦においては、株式会社吉富製薬により研究開発され、1960 年 10 月に適応症を「精神科領 域におけるうつ病、うつ状態」として承認され、セントラミンとして販売された。 その後、マイアミン(大日本製薬株式会社)、プレキサイド(日本新薬株式会社)が販売され、 ベタナミンⓇ錠(旧販売名、10mg)は、株式会社三和化学研究所が後発医薬品として開発を企画 し、規格及び試験方法を設定し、1965 年 11 月に承認を得て販売したが、病院、医院での使用量 が極めて僅少であり、使用する医療機関もほとんどなかったことから、1973 年 4 月に薬効再評 価に指定されると同時に株式会社三和化学研究所を含む全社が承認を取り下げ、製造が中止された。
しかし、「ペモリンは、ナルコレプシーの治療上、副作用が少なく、有効性の高い薬剤であり、 必要欠くべからざる医薬品である」として、医師及び患者からの要望を受け、厚生省の指導のも とに 1977 年 11 月再度、製造販売承認申請を行った。1979 年 2 月 2 日に効能又は効果「軽症うつ病、抑うつ神経症」として再評価結果が通知され、ベタナミンⓇ錠(旧販売名、10mg)の製造 販売承認を得た。1979 年 2 月効能又は効果「ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患」 の適応追加一変申請とベタナミンⓇ錠25mg、ベタナミンⓇ錠50mg の製造販売承認申請を行い、1979 年 6 月 4 日に承認を得た。 2006 年 2 月に、医療事故防止対策に伴い、10mg 製剤について販売名を従来のベタナミンⓇ錠からベタナミンⓇ錠 10mg に変更した。
上述のように、10mg錠の適応症は軽症うつ病、抑うつ症であるが、一般に抗うつ剤には分類されず、精神刺激薬に含める。
ぺモリン(商品名 ベタナミン)