適応障害は神経症性障害、不安障害に分類される。
適応障害は、ストレス性の出来事あるいは生活の変化が生じてから1ヵ月以内に抑うつ気分、不安、心配、対処できない感じ、日課が遂行できないなどの症状が発現する。症状の持続期間は6カ月未満である。6カ月以上持続する場合、診断は現在の臨床病像によって変更される。
わかりやすくいうと、適応障害とは環境の変化にうまく適応できず、抑うつや不安のほか、様々な心身の症状があらわれて、社会生活に支障をきたすことである。
社会人なら転職・異動・配置転換・業務の質量の変化・人間関係の変化などが原因となることが多い。学生の場合も進学・進級・転校・人間関係の変化などが原因となる。
精神的症状は抑うつ気分、不安、焦燥、怒り、緊張などがみられる。
身体症状には倦怠感、易疲労感、食欲低下、不眠、頭痛、肩こり、めまいなどがある。
日常生活では仕事の効率の低下、欠勤、遅刻、早退、飲酒、喫煙、ギャンブル、家庭内不和などが多い。
診断基準では、診断後6カ月以内に病名を変更する必要があるが、実際の臨床場面では(少なくとも本邦では)、半年を超えて適応障害の病名が使用され続けることが多い。
適応障害はメンタルクリニックを訪れる患者の中で多い疾患の一つである。
治療
治療はうつ病のそれに準ずる。すなわち、休養と薬物療法、復職後の環境調整である。休職中は体調が回復しても、同じ環境に復職すれば、再発することが容易に想像される。休職期間中に復職後の環境調整が重要となる。多くの会社で産業医が復職に関与する。