ADHDはattention deficit hyper activity disorderの頭文字をとった略語で、日本語では「注意欠陥多動性障害」と訳される発達障害の一つである。
症状:
ADHDの臨床症状はその名の通り、不注意・多動性・衝動性である。子供の頃はほぼすべての症状があるが、大人になって社会生活を始めると、多動性・衝動性が目立たなくなる反面、不注意が大きな問題になることが多い。
大人のADHDの具体例を挙げると
不注意なミスが多い
いくら注意しても同じミスを繰り返す
気が散りやすい
物忘れが多い
スケジュール管理ができない
約束の時間を守れない
モノをよくなくす
服装や持ち物がだらしない
整理整頓が苦手
部屋が乱雑、ゴミ屋敷
机やカバンの中がぐちゃぐちゃ
じっとしていられない
待つのが苦手
計画を立てるのが苦手
見通しが甘い
アイデアが豊富
コミュニケーションがうまい
適職
創造的な仕事
営業
治療:
ADHDの治療は薬物療法と環境調整・生活指導である。
本邦で使用されている薬物のうちアトモキセチン(商品名ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)は依存性の問題が少なく、医療機関の登録は不要である。メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)は中枢興奮作用、覚醒作用が強く、依存性が極めて高い。登録された医療機関のみで使用される。リタリンの保険適応はナルコレプシーである。徐放剤のコンサータがADHDに使用される。
環境調整・生活指導は、ASDの項で述べたように、患者の置かれている状況を把握し、問題点を確認したうえで、社会生活に適応できるような訓練をしていく。