かもめメンタルクリニック関内馬車道心療内科

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SDA

抗精神病薬

SDAはセロトニン・ドパミン拮抗薬の略で、非定型抗精神病薬に分類される。

ラットの研究においてフェノチアジン系・ブチロフェノン系の抗精神病薬により誘発されるカタレプシーをセロトニン拮抗薬が減弱させることが報告され、さらに、選択的なセロトニン5-HT2受容体拮抗作用薬を、ドパミンD2受容体拮抗作用を主作用とする従来の抗精神病薬に併用したところ、陰性症状の改善、ドパミンD2受容体拮抗薬の副作用である錐体外路症状の減弱がみられることが確認された。そこで単一化合物でドパミンD2受容体拮抗作用とセロトニン 5-HT2受容体拮抗作用を有し、ハロペリドールと同様に強い抗精神病作用を示すとともに、錐体外路系の副作用が少なく、陰性症状に対しても有効な新しい抗精神病薬の開発が開始された。その結果、従来の抗精神病薬とは構造の異なるベンズイソオキサゾール骨格を有する新規化合物リスペリドン(商品名:リスパダール)が1984年に合成された。リスペリドンは薬理学的な特性からセロトニン・ドパミン・アンタゴニスト(SDA)と呼ばれている。

SDAはドパミンのD2受容体への拮抗作用によるドパミンの過剰な働きによる陽性症状の改善作用と5-HT2A受容体への拮抗作用による陰性症状の改善作用をあらわす。

SDAは同じく統合失調症に使用する抗精神病薬の定型抗精神病薬と比較した場合に一般的には、パーキンソン症候群や高プロラクチン血症などの副作用への懸念が少ないとされている(薬剤によってその度合いは異なる)。また、本剤の中には認知症の周辺症状(BPSD:幻覚、妄想、夜間せん妄などの症状)などに対しても使用する薬剤もある。

本邦で発売されているSDAはリスペリドン(商品名リスパダール)、バリペリドン(インヴェガ、ゼプリオン)、ブロナンセリン(ロナセン)、ペロスピロン(ルーラン)、ルラシドン(ラツーダ)がある。

リスペリドンは抗幻覚妄想作用が強い。非定型薬の中では錐体外路症状やプロラクチン値上昇をきたしやすい。保険適応症は統合失調症、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性である。保険適応外で器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮・易怒性、双極性障害、治療抵抗性うつ病、強迫症などに使用されることがある。注射薬は1回の効果が2週間持続する。

バリペリドンはリスペリドンの代謝産物で、鎮静は弱い。プロラクチン値が上昇しやすい。持続性注射薬は1回の効果が4週間持続する。

ブロナンセリンはドパミンD2/D3受容体に作用する。鎮静作用は弱い。錐体外路症状が出やすい。メタボリックな副作用は少ない。

ベロスピロンはセロトニン5-HT1A受容体に作用し、抗不安効果もあり、錐体外路副作用が少ない。保険適応外で器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮・易怒性、双極性障害、治療抵抗性うつ病、不安障害などに使用されることがある。

ルラシドンは抗うつや不安に効果がある。メタボリック系副作用は少ない。アカシジアに注意する。保険適応症は統合失調症、双極性障害におけるうつ症状の改善である。

リスペリドン(商品名リスパダール)1996年発売。
バリペリドン(内服剤インヴェガ、持続性注射剤ゼプリオン)2011年発売。
ブロナンセリン(ロナセン)2008年発売。
ペロスピロン(ルーラン)2001年発売。
ルラシドン(ラツーダ)2020年発売。

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