躁病と書いて「そうびょう」と読む。
躁病は気分障害に分類される。
躁病の症状は、気分が高揚し、身体的・精神的活動性の量と速度が増加することである。
ICD-10では、躁病エピソードと呼ばれる。エピソードとは病相(症状が出現していること)のことである。躁病エピソードは軽躁病、精神病症状を伴わない躁病、精神病症状を伴う躁病に分類される。
軽躁病は軽度の気分高揚、気力と活動性の亢進が数日間続き、著しい健康感と心身両面の好調感が存在する。
躁病は気分が患者の置かれた状況にそぐわないほど高揚し、愉快で陽気な気分からほとんど制御できない興奮に至るまで、さまざまに変わりうる。気分高揚は活力の増大を伴い、活動性の過多,談話心拍、睡眠欲求の減少をもたらす。通常の社会的抑制は失われ、注意を保持できず、著しい転導性の亢進を見る。自尊心は肥大し、誇大的あるいは過度に楽観的な考えが表明される。
患者は実現不可能な途方もない計画に熱中したり、浪費を重ねたり、攻撃となったり、好色であったり、ふさわしくない場面でおどけたりすることもある。
気分が高揚するというより、いらいらしたり、疑い深くなったりするものもある。
エピソードは少なくとも1週間は続き、日常の仕事や社会的活動性が完全に妨げられるほどに重症である。
躁病の治療は薬物療法と環境調整である。薬物療法は気分安定薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬などを適宜、用いる。環境調整は安静を主とする。重篤な場合、緊急性を要するときは、精神科病院に入院となる。電気けいれん療法を施行することもある。