ASDはAutism Spectrum Disorderの略語で、自閉症スペクトラム障害と訳されている発達障害の1つである。
ASDの臨床的な特徴は、コミュニケーション能力・社会性が低く、興味や関心が偏っていて、強いこだわりがあることである。
具体例:
相手との適切な距離感がわからない
相手の立場や気持ちを想像できない
不適切な発言をする
思ったことをそのまま言葉にする
空気を読めない
話すタイミングがずれる
主題がはっきりしない会話ができない
曖昧な質問に答えられない
複数の人と雑談ができない
興味・関心の対象が限定的
興味・関心の対象に寝食を忘れて、過剰に長時間、集中する
ヒトよりもモノに興味がある
いわゆるオタク
興味・関心がないことは、やらなければいけないこともできない
不器用
融通が利かない
孤独を好む
身体的特徴:
視線が合わない
表情、表現力に乏しい
感覚刺激に過敏あるいは鈍感
睡眠障害
適性:
理系(工学部・理学部など)
研究職
職人
治療:
治療は環境調整・生活指導と薬物療法がある。
環境調整・生活指導は、本人や周囲が困っていること、悩んでいること、気づいていないことを明らかにして、対策を考えていく。その場に適した対応を主治医とともに考え、あらかじめ学習しておき、実際の場面で実践・反省・改善を繰り替えして身に着けることによって、社会性・適応能力を高める。また、本人に適した環境に身を置けば、適応の可能性が高まる。
薬物療法は対症療法である。大人のASDに対して直接、作用する薬物はない。リスペリドン、アリピプラゾールが小児期のASDに伴う易刺激性に対し保険適応がある。抑うつ、不安、過敏、不眠といった二次的な症状に対し、対症的に処方する。